日経ITproのページで、パソコムプラザの代表・増田由紀のインタビューが紹介されました(2015/1/9)

日経ITproのページで、パソコムプラザの代表・増田由紀のインタビューが紹介されました

インタビュー&トーク

シニアの方こそ、スマホやクラウドを使いこなしてほしい

パソコムプラザ新浦安 オーナー・インストラクター 増田 由紀 氏

 地域密着型のパソコン教室「パソコムプラザ新浦安」では、特にシニアを対象にしたIT教育を実施している。最近では、受講生の興味が、オフィス系ソフトを中心にしたパソコン利用から、より生活に密着したスマホやタブレットへと移っているという。シニア向けIT教育という観点から、「いちばんやさしい60代からのiPhone」の著者にしてパソコムプラザ新浦安を率いるオーナー・インストラクターの増田由紀氏(写真1)に最新動向を聞いた。(聞き手は出版局=田島 篤)

写真1●パソコムプラザ新浦安を率いるオーナー・インストラクターの増田由紀氏

シニアをメインの対象にしているのはなぜですか。

 パソコン利用が「一人1台」という形で普及し始めた2000年前後、こうしたIT化の流れからシニア世代が取り残されるのではという危惧を持ちました。若い人は自分で勉強するけれども、シニアの方は高いお金を払って講習会で習ったとしても、そのスキルがなかなか身に付かないのです。

そこでITの普及、特にシニアの方を対象にしたパソコン教室を開くことにしました。ちょっと大げさにいうと、デジタルデバイドの解消の一助になればという思いがありました。

その当時の2000年ごろは、オフィス系ソフト、具体的にはワードやエクセルの使いこなしが講座内容の中心でした。具体的には、年賀はがき、暑中見舞いはがき、お小遣い帳、季節のお便り、カレンダー、名刺などの作成です。

これらは今でも人気の講座内容ですが、その後、デジタルカメラやインターネット、iPhoneやiPadをはじめとするスマートフォン、そしてクラウドの普及に伴い、それらを講座で積極的に取り入れるようにしています。むしろ、こちらの方が活発になりつつあります。

シニア世代が対象だからといって、普及したものばかりを教えていてよいわけではありません。せっかくお金を払って通っていただいているので、最先端のIT利活用を分かりやすく、身に付くように伝えたい。そのため、iPadやiPhoneなどを日常生活で生かせる講座内容となるように、工夫しています。

 

生活に密着した活用シーンを提案

シニア向けの講座内容は社会人向けとは異なるのでしょうか。

 日常生活に密着した内容にすることが大事です。ビジネス文書とか表計算とかグラフ表示だけをやっていても、なかなかシニアの方が活用する機会がないわけです。そこで、例えば、自治会の回覧板の作成やバス旅行の案内、年末であれば医療費控除での表の作成など、生活の中で実際に遭遇し得る活用シーンを想定した講座内容にしています。

iPadやiPhoneなどもそうですか。

 はい、すぐ手元にあるiPadやiPhoneなどの方が生活に密着した使い方になるので、日常生活重視の傾向は強いです。写真を撮ってOneDriveに保存するとか、Gmailやネット検索、Twitterを利用するなどです。

こうした講座をiPhoneなどのスマートフォンやiPadを使って実施することにしたのは、2011年の東日本大震災の後からです。ここ浦安も液状化するなどかなりの被害を受けました。浦安の液状化を撮影したYouTube動画の一つは、教室のスタッフが撮影したもので、すでに200万回以上見られています。

災害時には、ネットの情報をリアルタイム検索する、あるいは、Twitterで適切な情報を得る、こうしたスキルの必要性が浮き彫りになりました。計画停電や給水車の情報をネットで探せない人は、自治会まで行って壁に貼り出されている回覧板をわざわざ書き写して家に帰るといった不便さを強いられます。

家に1人でいて、給水や炊き出し、防災に関する情報が得られなければ、ご自身が損をすることになります。特に災害時は、情報をより多く集められた方が有利です。

 

日々の生活やいざというときに役立つように

写真2●iPadの使い方などを学んでいる様子

一人暮らしのように家に1人でいるシニアの方は増えていますよね。ご高齢になって重たいものを買うのが大変だ、というときでもネットで買い物できるということを知っていれば便利ですし、メールやメッセージなどで離れて暮らす家族とやり取りできれば、広い意味では安否確認にもなります。クラウド経由で写真を共有できれば、写真を見る楽しみも増えます。だからこそ、シニアの方こそ、スマホやネット、クラウドを使いこなすことが大事になるのではないでしょうか。

シニアに限ったことではありませんが、いざというときに普段習っているITが役に立たなくてどうするんだという思いがあります。だからこそ、講座については、生活に密着した内容を重視しています。ワードが済んだから次はエクセル、そしてパワポといった切り口ではなく、生活に密着した活用シーンを提案しています。

集合レッスンであっても、結局は生徒一人ひとりで家族構成などの状況は異なります。十人十色のなかでその方が一番欲しているものを、我々の持っている引き出しから適材適所でご提案できるかどうか、講座内容はここに尽きると思います。

 

「アカウント」と「用語」がハードル

教える上でのハードルはどこですか。

 「アカウントを覚えておくこと」と「用語」が大きなハードルです。

まず、ログイン時のアカウントとパスワードが、なかなか覚えられないようです。複数のサービスを使うには複数個のアカウント情報を覚えないといけない。アカウント情報は大事なのでご自身で管理してくださいといっても、数字や英字、場合によってはカタカナを使ったアカウントを覚えるのは、私たちが思っている以上に大変なご様子です。シニアの方がサービスを利用するときにまず「難しい」と感じられるのが、アカウント情報なのです。

もう一つは用語です。例えば、ダウンロードやアップロードといっても、これらのカタカナと概念が結び付きません。たとえ日本語であっても、概念を理解しにくいと結局は使ってもらえません。

例えば、「共有」という概念。クラウドでの共有を理解してもらうために、講師は説明を分かりやすく工夫する必要があります。「コインロッカーの一区画を、みんなで使うことにした。ついてはコインロッカーの鍵を渡すから、各自コインロッカーを開けて、中に預けてある荷物を使ってください」というような感じです。「荷物を相手に送り付けているわけじゃないですからね。合鍵を相手に渡しているだけだから」というように、なるべく身近なものに置き換えて説明します。

こうして概念を先に理解してもらい、後から用語が付いてくるという形にしています。製品名や機能の正式名称を知らないと、自分で調べたりサポートセンターに電話したりするときに困りますから、まず概念を理解してもらってから、用語を説明するようにしています。

概念が理解できて活用シーンが身近にあれば、シニアの方でも使ってもらえます。ちょっと難しい概念でも、活用シーンが伴えば、きちんと理解した上で使ってもらえるものなのです。